Monthly Archives: 3月 2021

非住宅木造 【耐火建築物】

今回は、「耐火建築物」の概要についてです。

 

大規模な建築物や不特定または多数の人が利用する建築物では、

火災が発生した場合、人命への危険性や周辺へ被害が広がる

可能性が高くなりますよね。

建築基準法では、このような建築物に対して火災により建築物が倒壊すること

(有事の際の避難時間・避難経路の確保といった意味あいかと思います)がないように

火災に対する防火措置を施さないまま木造等で建設することを制限し、

地域、規模または用途に応じて「耐火建築物」または「準耐火建築物」と

しなければならないと規定されてます。

 

■耐火建築物 (法2条9号の2)とは

耐火建築物とは、主要構造部(壁、柱、床、はり、屋根、階段)が耐火構造であるもの

または 耐火性能検証法等により火災が終了するまで耐えられることが確認されたもので

外壁の開口部で延焼のおそれのある部分 に防火設備を有する建築物のことを

いいます。

 

■ 木造による耐火建築物

①主要構造部に木材を使ったメンブレン型耐火構造

木造軸組構法や枠組壁工法では、構造部材をせっこうボード などで防火被覆した

「メンブレン型耐火構造」により国土交通大臣の認定を取得し、

木造耐火建築物が実現しています。

この技術開発によって、特殊建築物や防火地域内の木造共同住宅、4階建て建築物など

これまで木造では建てられなかった建築物が広く建設されるようになりました。

 

②木質ハイブリッド部材

鉄骨を集成材などの木材の厚板で被覆することで

耐火構造としての性能を確保するとともに木の質感を出す木質ハイブリッド 部材が開発され

国土交通大臣の認定を受けています。

 

③被覆型耐火構造 (集成材)による耐火建築物

構造用集成材の柱やはりでは、せっこうボードなどで防火被覆 した耐火構造や部材内部に

燃え止り層を設けた耐火構造が国土交通大臣の認定を受けています。

 

④耐火性能検証法による木造耐火建築物

耐火性能検証法(平成12年建告1433号)により、天井を高くしたり、

大きい空間とすることで、火災時に熱がこもりにくくする対策を講じれば、

梁を木材(小径200mm以上)の現しで用いることも可能です。

 

⑤高度な検証法による木造耐火建築物

大臣認定を受けた高度な検証法による木造耐火建築物では、

大空間の木造ドームなど大型の木造建築物も建築可能です。

非住宅木造 用途別紹介【保育所】

今回は、「保育所」を木造で建築する場合の主な建築基準法の規定等を

抜粋してご紹介します。

 

★「保育所」は、建築基準法上児童福祉施設等に分類され、

法 27条による特殊建築物です。

必要となる耐火性能は建築基 準法以外にも児童福祉施設最低基準

(以下「児」と略す)が定 められており、

保育室等(乳児室、ほふく室、保育室または 遊戯室をいう)を

何階に計画するかによって、耐火性能の要求水準が変わります。

木造の場合でも、内装制限適用の規模に達しないものであれば

内装を木材の現しとすることができます。

また、適用規模にかかわらず、天井面のみを準不燃材料で仕上げれば、

その他の内装は全部木材仕上げとすることも可能です

(平成12年建告1439号)。

 

下記の表を御参照ください。

 

★建築基準法以外で注意すべき規定

■ 児童福祉法(厚生労働省管轄)児童福祉施設最低基準

保育所については、消防法の規定以外にも児童福祉施設最低基準で

避難器具の設置や防炎対象物品の規定があります。

また、3階建て以上の場合は児童福祉施設最低基準(児条号チ)において

防炎処理製品の使用についての規定がありますのでご確認ください。

 

■ 消防法 (消防庁管轄)  特定防火対象物 (消令別表第1 (六)ハ)

消火栓設備やスプリンクラー設備の設置の規定は幼稚園と同じです。

 

★弊社で納材した「保育所」の物件をご紹介します。

【物件の紹介】

物件名:W保育所

建設地:神奈川県

規模:木造2階建の延床坪数300坪

特徴:180Φ丸太柱、8M大断面梁使用

「都市の木造化に向けた木質耐火等の利用促進事業」 Part3

都市の木造化に向けた木質耐火等の利用促進事業

の申請物件全ての申請手続きが終了しました!!!

 

申請事例はこちら↓

https://www.jutec-mokuzouhijuutaku.com/blog/4643/

https://www.jutec-mokuzouhijuutaku.com/blog/4817/

 

都市の木造化に向けた木質耐火等の利用促進事業」の詳細は

↓こちらをご覧ください。

 

 

 

 

 

一部ですが、申請が完了した物件を紹介致します。

 

申請物件①          

用途:寄宿舎

階数:2階

床面積:215.29㎡

助成金金額:約75万円        

 

申請物件②          

用途:共同住宅

階数:3階

床面積:339.03㎡

助成金金額:約118万円   

 

申請物件③

用途:共同住宅

階数:2階

床面積:191.72㎡

助成金金額:約67万円

 

申請物件④

用途:共同住宅

階数:3階

床面積:268.68㎡

助成金金額:約94万円

 

 

 

今後も新たな助成金がありましたら、発信をしていきます。

助成金や木造非住宅に関するご質問がありましたら、

お問い合わせください!!

 

 

【お問い合わせ】

株式会社ジューテック

市場開発部 木構造チーム

TEL   :03-5408-5055

非住宅木造 用途別紹介【集会場】

今回は、「集会場」を木造で建築する場合の主な建築基準法の規定等を抜粋してご紹介します。

 

★「集会場」とは、不特定かつ多数の者が集会に利用する施設をいいいます。

教会・寺院などの礼拝のみに使用する礼拝堂は、使用する人が特定されており礼拝のみを

行なうことから建築基準法上の集会場には該当しない。

一方、結婚式場、ホテルの宴会場、葬儀場やセレモニーホールは、

不特定多数の人が来場することから建築基準法上の集会場に該当するものとして取り扱います。

 

★「集会場」は、法27条による特殊建築物です。

集会場が耐火・準耐火建築物以外の建築物で建てられるか否かは客席の床面積が

判断要素となります。

★経済的な規模は、客席の面積が200m2未満で、かつ延べ面積が500m2未満です。

前者に適合すれば耐火建築物としなくてもよく、後者に適合すれば屋内消火栓設備は不要 です。

そして、屋内消火栓設備が不要であれば、おおよそスプリンクラー設備と屋外消火栓設備の

設置に関する基準もクリアしていると考えられます。

(客席と舞台が別れていない一体型の集会場の場合は、その室の床面積の合計が

「客席の床面積」に該当します)

まとめると下の図解のようになります。

 

★建築基準法以外で注意すべき規定

集会場において業としての興行を行う場合は、興行場法が適用 されます。

また、消防法についても興行場の場合は設備の設置 の扱いが異なります。

単なる集会場なのか、それとも、興行を目的とした商業施設なのか、

計画時に見極める必要があるようです。

その他、集会場の利用実態に応じて様々な関係法令の適用があ りますので、

類似の施設用途をあらかじめ調査し必要な設備等を確認しておきましょう。

 

■ 興行場法(厚生労働省管轄) (以下「興」と略す。)

興行を営む者は、興行場について、換気、照明、防湿および清潔 その他入場者の衛生に

必要な措置を講じなければなりません(興 条) 。必要な措置の基準については、

都道府県が条例で定めること になっていますので、ご確認ください。

 

■ 社会教育法(文部科学省管轄) 公民館の設置及び運営に 関する基準

建築基準法上の集会場には、公民館が含まれます。

公民館を計画 する場合、必要設備などが、 「公民館の設置及び運営に関する基準」 に

定められています。

 

■ 消防法 (消防庁管轄) ・・・特定防火対象物 (消令別表第 ・・・ (一)ロ)

消火栓設備やスプリンクラー設備の設置が求められる規模についてもあわせて

考慮し計画しましょう。

★納材した「集会場」の物件をご紹介します。

【物件の紹介】

物件名:ダイリン羽生ホール

建設地:埼玉県

用途:葬祭場

建設規模:188坪

階数:平屋

特徴:木造トラスで86㎡(11.83m×7.28m)の空間づくり

 

弊社でプレカット材一式を納品させていただきました。

トラスですと写真のような天井になります。

いかがでしょうか。

 

株式会社ジューテック

木構造チーム

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非住宅木造 用途別紹介【共同住宅】

今回は、「共同住宅」を木造で建築する場合の主な建築基準法の規定等を抜粋してご紹介します。

 

★「共同住宅」は、法27条による特殊建築物です。

法27条1項 により、3階以上を特殊建築物の用途に供する建築物は、

耐火建築物とする必要があります。

ただし、特殊建築物の用途 のうち下宿、共同住宅または寄宿舎については、

利用者が特定の者で建物の構造を充分に理解していること、円滑な避難 が期待できること、

および各住戸ごとに小規模区画されてお り火災の拡大が比較的遅いことなど、

防火上や避難上他の特殊建築物に比べ有利な条件を有していることから、

防火および避難に関する一定の技術基準に適合する準耐火建築物とすることができ、

防火地域以外の区域内に建設することが可 能です。

 

★防火地域、準防火地域以外の区域内では、

延べ面積 3,000m2以下の木造3階建て共同住宅の建設が可能で、

そ の技術基準は次の通りです。 (令115条の2の2)

① 主要構造部の耐火性能が1時間の準耐火構造であるこ と。 (平成12年建告1380号) 。

② 避難上有効なバルコニーの設置等により十分な避難安全 性が確保されていること。

(各住戸それぞれ2方向の避難 経路の確保)

③ 通常の進入経路以外に十分な幅員の通路に面する開口部 を設けることにより、

消防活動の円滑性が確保されてい ること。

④ 避難活動と消防活動の円滑性を確保するとともに、倒壊 による隣地への加害防止のため、

建物の周囲に十分な空地を設けること。

 

★準防火地域内の場合は延べ面積1,500m2以下の木造3 階建て共同住宅の建設が可能で、

その場合は上記①~④の 技術基準に加え、次の防火措置⑤が必要となります。

⑤ 火災時の延焼拡大防止と避難上の安全性を確保するために、

3階の住戸などの外壁開口部に防火設備を設けるこ と。

 

★建築基準法以外で注意すべき規定⇒消防法 (消防庁管轄)防火対象物 (消令別表第1 (五)ロ)

消防法施行令では、消令別表第 (五)項ロの防火対象物に対する屋内消火栓設備などの消火設備、

自動火災 報知設備などの警報設備、避難設備、消防用水、および消火活動上必要な施設に関する

各設置基準が定めら れていますので、それぞれの規定を参照してください。

 

下記の表を御参照ください。

 

★納材した「共同住宅」の物件をご紹介します。

【物件の紹介】

物件名:野沢PJ

特徴:木造4階建(一部)共同住宅

 

弊社でプレカット材一式の納材をさせていただきました。

ご相談・お問い合わせはこちらをクリック!

非住宅木造 用途別紹介【事務所】

今回は、「事務所」を木造で建築する場合の主な建築基準法の規定等を抜粋してご紹介します。

 

★「事務所」は、法27条による特殊建築物に該当しません。

従って、大規模建築物の主要構造部に関する法21条の規定 に従い、

高さが13m以下、軒の高さが9m以下および延べ面積が3,000m2以下の場合は

耐火・準耐火建築物以外の建築物で建設できます。

 

★高さが13mまたは軒の高さが9mを超える事務所では耐火建築物とする必要がありますが、

次の(1)または(2)に 示す防火上の技術的基準に適合する木造建築物の場合は、

耐火要件が緩和されます(令129条の2の3) 。

 

(1)時間準耐火構造の木造建築物 階数が3階までの緩和規定に基づき、

要構造部を1時 間の準耐火構造とし、建物の周囲に十分な空地(幅員3m以 上の通路)を設ける。

 

(2)30分相当の加熱に耐える防火措置(燃えしろ設計等) を行った木造建築物

階数が2階までの緩和規定で、次の①~④の基準などに適合する木造建築物。

① 強度や耐久性に関し安全が確認された集成材、製材等の建築物とする。

② 柱および梁について、通常の火災に対して建築物全体が倒壊する恐れのないことを

確かめ (燃えしろ設計)、さらに 継手や仕口は防火上有効に被覆する。

③ 外壁、軒裏の構造を防火構造とし、床の構造は30分の 加熱に耐える防火措置と

したものとする。
④ 各室および各通路の、壁および天井の室内に面する部分の仕上げを

難燃材料以上とする。

なお、延べ面積が1,000m2を超える木造建築物は、

防火壁により1,000m2以内ごとに区画する必要がありますが、

これを準耐火建築物とした場合は、防火壁の設置が緩和されます。

(法26条、令112条)

 

ちょっと難しいですよね。まとめると下の図解のようになります。

★建築基準法以外で注意すべき規定

「消防法 (消防庁管轄) 防火対象物(消令別表第1 十五)

事務所は、消防法施行令別表第1の十五項の防火対象物として指定されています。

消防法施行令では、十五項の防火対象物に対する屋内消火栓設備などの消火設備、

自動火災報知設備などの警報設備、避難設備、消防用水、

および消火活動上必要な施設に関する各設置基準が定められていますので、

それぞれの規定を参照してください。

 

残念ながらここ最近弊社が関わった現場で写真掲載の許可が得られませんでしたので

次回から実例もふまえて紹介していきますね。

【告知】『用途別 木造非住宅建築のすすめ』はじめます!

こんにちは!

今月は『用途別 木造非住宅建築のすすめ』を毎週投稿していきます。

 

非住宅とは、文字通り住宅以外の事です。

家を建てる場合に木造住宅を希望するという方は多いですよね。

木造建築は古来から多くの人に好まれています。

しかし、戸建住宅を除いて現在木造で建てられている建物は多くは ありませんので、

「戸建住宅以外で木造建築を建てるのは難しいのでは?」

と思う方もいるのではないでしょうか。

実際に建物を建てるには安全性の確保などのため、

建設地域や建物の規模、用途によって様々な基準に適合させる必要があります。

建築基準法による基準のほか、建物の用途によっては別に設置基準などが

定められている事も多く、非住宅木造では特にこれらの複雑な条件に尻込みして

S造、RC造の建物が選ばれてきた実情もあるようです。

 

そこで!!

今月は1か月に渡って建物の主な用途ごとに、建築基準法など の主な規定との関係が

大まかに理解できるよう、解説していきたいと思います。

以下、3月の主な更新予定(仮)です。

【第一回】事務所

【第二回】共同住宅(弊社納材実例有り)

【第三回】集会場(弊社建築納材有り)

【第四回】保育所(弊社建築納材有り)

【第五回】耐火建築物について

このような形で投稿していく予定ですので、楽しみにしていてくださいね(^^)

 

設計上の工夫などを行うことによって、あるいは技術開発の成果を採用するこ とによって、

木造建築の可能性は大きく広がります。

今回の『用途別 木造非住宅建築のすすめ』を参考にしていただき、

木造建築にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。