中・大規模木造建築について
「公共建築物等木材利用促進法」の施行により需要が高まる中・大型木造建築物
正式名称は、「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」で2010年10月1日に施行されました。この法律の主な目的は「林業の再生や森林の適正な整備、地球温暖化防止」です。これに伴い、公共建築物以外の非住宅(商業施設や民間団体施設など)に対しても、補助金制度などを設けて、広く木質化を促進しています。
公共建築物等木材利用促進法の概要
・建築基準法その他の法令に基づく基準で、耐火建築物とすること等が求められない低層の公共建築物について積極的に木造化を促進する。(3階建ての木造の学校等について、一定の防過措置を行うことで、準耐火構造等で建築が可能となった)
・CLT(直交集成板)や木質耐火部材等の新たな木質部材の活用に努める。
・木造化が困難な場合でも、内装の木質化、備品や消耗品としての木材の利用、木質バイオマスの利用を促進。
国整備の公共建築物木造整備は前年比187.5%(H27年度)
国土交通省と農林水産省の公式発表によれば、各省各庁が整備する公共建築物における平成27年度の木材の利用状況をは、下記の通りで、いずれも前年比を上まっている。
・積極的に木造化を促進する低層の公共建築物110棟のうち60棟を木造で整備(前年比187.5%)
・内装等の木質化を行った公共建築物186棟(前年比108.1%)
平成29年3月7日付
木造建築のメリット
性能アップ
熱を伝えにくい
木材は鉄やコンクリートに比べて熱を伝えにくいという特性を持っています。
高い調湿性能
調湿機能を持つ木材は、最も日本の気候に適した建築材料です。
火災に強い
木材は一定の厚みや太さがあれば、表面が焦げるだけでそれ以上はなかなか燃えない。木材の表面が炭化する(炭になる)ことによって、木材が燃えにくくなるという性質が、家を火事による倒壊から一定程度、守ってくれます。
コストダウン
建築コストを抑える
構造計算を行い、一般的な材料(流通材)を使用して設計を行えば、住宅産業の加工インフラ(プレカット工場)で、安定した品質の製品を供給が実現し、コストを抑えることができます。
また建物重量が軽くなる為、地業(杭)・基礎工事のコストが軽減できます。
解体費を抑える
S造・RC造と比べ、木造建築は解体工事が容易です。
人と地球に優しい
「木」本来の癒し
木材の柔らかさや香り、温かみは人の気分を和らげ、心地よさを実現します。
CO2削減
木造化による建設時の二酸化炭素排出量の抑制(RC造の約1/2)。製造時の消費エネルギーも他の素材に比べ環境にやさしく、炭素ストック量も非住宅建築物の中でダントツトップです。(S造・RC造の約4倍)
木造建築のデメリット
・木材で設計できる範囲を超えた場合、他の構造(S造・RC造)よりコスト高となる場合がある。
・流通材以外の材料、又、特殊な構造とした場合、コスト高となる。
・不燃材料でない為、防火性能を考慮した設計が必要。