平成22年5月26日に公布され、同年10月1日に施行された
「公共建築物における木材利用の促進に関する法律」を
改正する法律案が令和3年6月18日に公布されました。
法律の題名が
「脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における
木材の利用の促進に関する法律」に変わります。
◆主な改正内容
法律の名称が上記に改められるとともに、
目的について「脱炭素社会の実現に資する」旨を明示する改正を行い、
木材利用の促進に関する基本理念(※)が新設されます。
また木材利用を促進する建築物の対象範囲が
現状の低層の公共建築物から民間建築物を含む
「建築物一般」にまで拡大されます。
さらに農林水産大臣を本部長、関係大臣を本部員とする
木材利用促進本部を設置し、基本方針の策定等を行い、
10月8日を「木材利用促進の日」、10月を「木材利用促進月間」として法定化し、
国等は普及啓発の取組を行います。
※基本理念(第3条)
1 木材の利用の促進は、地球温暖化を防止することが
人類共通の課題であり、そのための脱炭素社会の実現が
我が国の緊要な課題となっていることに鑑み、
森林における造林、保育及び伐採、木材の製造、建築物等における
木材の利用並びに森林における伐採後の造林という循環が
安定的かつ持続的に行われることにより、
森林による二酸化炭素の吸収作用の保全及び強化が
十分に図られることを旨として行われなければならない。
2 木材の利用の促進は、製造過程における
多量の二酸化炭素の排出等による環境への負荷の程度が高い資材又は
化石資源(原油、石油ガス、可燃性天然ガス及び石炭をいう。以下同じ。)
に代替して、森林から再生産することが可能である木材を利用することにより、
二酸化炭素の排出の抑制その他の環境への負荷の低減が図られることを
旨として行われなければならない。
3 木材の利用の促進は、森林の有する国土の保全、
水源の涵養その他の多面的機能が持続的に発揮されるとともに、
林業及び木材産業の持続的かつ健全な発展を通じて
山村その他の地域の経済の活性化に資することを
旨として行われなければならない。
「公共建築物における木材利用の促進に関する法律」により
公共建築物の床面積ベースの木造率は法制定時の8.3%から
令和元年度には5.5%増加し13.8%にまで上昇しました。
一方で民間建築物については、
非住宅分野や中高層建築物の木造率は低位にとどまっています。
また2050年カーボンニュートラルの実現に貢献する為には、
「伐って、使って、植える」という木材資源の循環利用を
進めていく必要性があります。
以上の事から、建築物におけるさらなる木材利用の促進・普及が
進むと考えられます。
今後も国の施策や助成金の情報等、皆さまに有益な情報があれば
随時発信していきますので引き続きブログをご覧になっていただければ
幸いです。
木造化、特に非住宅木構造に関するご相談がありましたら
ジューテックの木構造チームまでご連絡ください。